2023.04.06
KANGOO NEW&UPDATE もっとカングー、もっと遊べる空間に
KANGOO NEW&UPDATE
もっとカングー、もっと遊べる空間に
フランスではルノー カングーのようなクルマを「ルドスパス」と呼ぶ。それはラテン語で遊びを意味する「LUDOS」と、フランス語で空間を意味する「ESPACE」を組み合わせた造語で、「遊びの空間」という意味を持つ。ルドスパスは、プロフェッショナルツールとして鍛え抜かれた機能性を、趣味やレジャー、家族や仲間との遊びのための空間にあますところなく生かしたジャンルで、初代カングーが世界の草分けとなった。
新型カングーはフランス本国でも驚かれるほど日本で愛された2代目から、実に14年ぶりの刷新となる。エクステリアデザインは部品のひとつまですべて新しい。しかし、誰がどう見ても、ひと目でカングーと分かるのは、これまで培われてきたルドスパスとしての魅力をなにひとつ犠牲にしていない。それどころか、もっと遊べる空間に進化しているからだろう。
全長が210mm伸びたことで、カングー最大の魅力である室内空間はさらに広くなった。リアシートの足元空間がよりゆったりとしただけでなく、自慢の荷室容量は2代目より115L も増えて775Lになった。リアシートを倒した最大値は2,800Lで、これは先代より132L 増えている。それだけではない。フロントドアはほぼ直角まで開くようになるなど、各部の機能性も進化している。
一方で、カングーの愛されポイントはしっかり受け継がれている。その象徴ともいえるのは、カングーのアイコンともいうべきダブルバックドア。実は新型カングーのダブルバックドアは、フランスでは生産台数が少ない非常にレアな存在。特にダブルバックドア+ブラックバンパーに充実した快適装備が揃う「クレアティフ」は、日本のファンのためだけにつくられた日本特別仕様だ。
ダイナミックをテーマにモダン & スタイリッシュに進化した
エクステリアデザイン。
親しみやすくて実用的。そこに最新のエッセンスを取り入れた。
ラゲッジルームのトノボードは、大きな空間を区切ることで、
さまざまな荷物を収納する際に役立つ。
使用しない場合はリアシート背面に格納できる。
さらにインテリアに目を移すと、一度使うと手放せなくなるオーバーヘッドコンソールやシートバックテーブル、先代より大型化したチャイルドミラーも健在。リアシートも先代同様の設計で、子どもがしっかり座れる3 座独立形状や、収納時はきれいにフラットになるチルトダウン可倒機能もそのまま受け継がれている。
フロントシートは先代から全体的にひと回り大きく設計され、
よりゆったりとしたホールド感に。
3座独立のリアシートは大人3人がゆったり座れる。
横幅130mm/ 縦幅50mm と大きく見やすくなったチャイルドミラー。
後部座席の見守りも安心。
使用しない場合は折りたたんで格納することができる。
新型カングーもルドスパスらしく基本的にボクシーなシルエットだが、どこか上質な印象になっている。インテリアの質感もさすが14年分の進化……と言うべき飛躍的に向上している。
そんな内外装のプレミアム感は、走り出すとさらに確かなものとなる。新開発CMF-C/Dプラットフォームの採用で、高速ではよりフラットに乗り心地よく、コーナーでは水平姿勢のまま路面に吸いつく。さらに驚くのは、先代より明らかに静かになっていることだ。静粛性は新型カングー最大の開発テーマだったという。パワートレインも新しい。1.3Lガソリンターボは先代より明らかにパワフル。今回はディーゼルも最初から用意されるが、新たにEDCと組み合わせられたことで扱いやすさと快適性が大きく進化している。
本革仕様のステアリングホイールは
マットクロームフィニッシャーで装飾され、
両側にメーター表示の切替や走行に関するコマンドスイッチを配置。
Apple CarPlayTM やAndroid AutoTMを介して、
タッチスクリーンにスマートフォンが連係。
日頃使い慣れた各種アプリにアクセスできる。
大切な家族や仲間とともに楽しむルドスパスとして、最も注目すべきは、やはり先進安全性の進化だろう。新型カングーも、ルーテシアやキャプチャー、アルカナで定評を得た先進安全技術はすべて網羅している。その上で、最新モデルらしく「エマー ジェンシーレーンキープアシスト(E-LKA)」や「ブラインドスポットインターベンション」といった新機能も追加。現時点で最も高度な先進安全技術を持つルノーとなっている。
エマージェンシーレーンキープアシスト。
車線をはみ出しそうになった場合、対向車との接 触の危険性がある場合、
ハンドル操作をアシスト。
ブラインドスポットインターベンション。
後側方車両の接近時に衝突を避けるようサポート。
約70 ~ 180km/hでの走行中に機能する。
このように新型カングーは全方位で大きな進化を遂げた。 これまで以上に日本で愛されて、新時代のルドスパスとしての歴史を紡いでいく条件は整ったということである。
モータージャーナリスト
カーマガジン編集部を経て独立。週刊プレイボーイ(集英社)、エンジン(新潮社)、「○○のすべて」シリーズ(三栄)、webCG、オートカー・ジャパンなどで執筆中。 2023-2024 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。