2016.08.11
イギリスGPリポート
イギリスGPにおいて、ルノー・スポールF1チームは2台揃ってリタイアに追い込まれるという不本意な結末を迎えました。ジョリオン・パーマーは38周目、ケヴィン・マグヌッセンは50周目にそれぞれマシンを止めましたが、いずれもギアボックス・トラブルが原因と見られています。決勝レースは路面コンディションが変化していくなかで行われたため、18番グリッドと16番グリッドからスタートしたケヴィンとジョリオンが追い上げるのは困難な状況で、ふたりともリタイアを喫するまでトラフィックに行く手を阻まれていました。
●激しい雨が降るなか、レースはセーフティカーに先導される形で幕を開けました。フルウェット・タイヤを装着したケヴィンは16番グリッドからスタートし、5周目にはピレリ・インターミディエイト・タイヤに交換するためピットストップを行います。2回目のピットストップを行うまではチームメイトとハースのグロージャンを追走しながら周回。16番手を走行中の17周目にはミディアム・コンパウンドのスリック・タイヤに交換するため、2度目のピットストップを実施しました。さらに40周目には3回目のピットストップを行ってソフト・タイヤに履き替えましたが、その10周後にはギアボックスが原因と見られるトラブルのため、リタイアに追い込まれました。
●ジョリオンは同じくフルウェット・タイヤを装着して18番グリッドからスタート。セーフティカーが退去した際にはひとつポジションを上げることに成功します。6周目にピットストップしてインターミディエイト・タイヤを得たジョリオンは、路面が乾いていくコンディションのなか、次第にグロージャンを追い詰めていきます。しかし、2回目のピットストップでミディアム・タイヤに履き替えたところ、予想外の事態が発生します。4本中3本のタイヤしか装着していない状態で発進の指示を受け、そのまま走り出してしまったのです。これでペナルティを科せられて最後尾まで後退。追い打ちを掛けるかのように、38周目にはトラブルでリタイアを喫しました。
ケヴィン・マグヌッセン(#20、R.S.16-01:スタート:16番グリッド、決勝リタイア)
「レース序盤は路面がとても滑りやすく、ウェット・タイヤを装着していたのでマシンのバランスはあまりよくありませんでした。このためコースアウトしないように注意しながら全力でプッシュすることになります。僕たちは最善を尽くしましたが、残念ながら今日はあまり速くありませんでした。レース後半が近づくとギアボックスが原因と思われる不具合が発生したため、念のためリタイアを選択しました。今日の僕たちはついていませんでしたが、何が起きたかをじっくり検証し、ハンガリーで力強い戦いが演じられるように準備をしたいと思います」
ジョリオン・パーマー(#30、R.S.16-02:スタート:18番グリッド、決勝リタイア)
「今日の結果はホームグランプリに相応しいものとはいえませんでした。ウェット・タイヤで走行したレース序盤はまずまず順調で、続いてインターミディエイト・タイヤに交換するため、ピットストップを行います。この段階でも期待が持てる状況でした。なにしろケヴィンに先行し、ロメイン・グロージャンを追い上げていたのですから。さらにピットストップを行ってスリック・タイヤに履き替えたとき、発進を意味するグリーンライトが点灯したため、僕はピットから走り出しましたが、このときはまだ右リア・タイヤの装着が完了していませんでした。この結果、1分近い遅れをとると同時に、安全を確認せずに発進を指示されたことから10秒間のペナルティ・ストップを言い渡されることになります。これで2ラップ遅れとなって走行しているとき、ギアボックスから不自然なフィーリングが感じられるようになったので、予防措置としてリタイアすることを決めました。今後はトラブルの原因を究明することになります。いまは来週行われるテストを楽しみにするとともに、次戦に向けて意識を集中しているところです」
フレデリック・ヴァスール:レーシングディレクター
「ルノー・スポールF1チームの歴史のなかでも決していいグランプリとはいえませんでした。私たちにとっては難しいレースで、今後は2台揃ってリタイアに追い込まれた原因を調査する予定です。リタイアするまで、ケヴィンとジョリオンのふたりは力走を見せてくれましたが、今日のペースはあまり力強いものではありませんでした。来週はテストを行い、次戦での目標を確実に達成できるように準備を整えたいと思います」